あれは私がまだ小学生だった頃の夏休み、友達と近所の雑木林でカブトムシを探していた時のことです。夢中で木の幹を蹴っていると、すぐそばの木の洞から、数匹の大きな蜂が唸るような羽音を立てて飛び出してきました。スズメバチでした。私たちは恐怖で叫び声を上げ、一目散に逃げ出しました。腕を振り回し、とにかく速く走ることしか考えられませんでした。幸いにも誰一人刺されることはありませんでしたが、家に着いた後も心臓の動悸はしばらく収まりませんでした。今思えば、あれは最も危険な対処法だったと冷や汗が出ます。あの時、もし一匹でも私たちの動きを攻撃とみなしていたら、集団で襲われて大惨事になっていたかもしれません。この経験は、私にとって蜂の恐ろしさを骨身に染みて理解する原体験となりました。そして大人になり、アウトドア活動を趣味とするようになってから、私は蜂との正しい付き合い方を学びました。先日も、山道を歩いていると一匹のアシナガバチが私の顔の周りをしつこく飛び回り始めました。昔の私ならパニックになっていたでしょう。しかし、私は立ち止まり、じっと動きませんでした。腕を組んで静かに蜂の動きを目で追い、威嚇しているのか、それともただ様子をうかがっているだけなのかを観察しました。数秒後、蜂は私に興味を失ったかのように、ふいと別の方向へ飛び去っていきました。あの時の安堵感は忘れられません。恐怖を感じても騒がない、動かない。そして、蜂が自分のテリトリーから離れていくのを静かに待つ。子供の頃の失敗体験と、大人になってから学んだ知識が結びつき、冷静な行動へと繋がった瞬間でした。蜂を追い払う最善の方法は、力ずくではなく、彼らの習性を理解し、敬意を払って静かに距離をとることなのだと、私は身をもって学んだのです。